話しかけると人間と間違うほど流ちょうに応答してくれる
クラウドベースの人工知能「Alexa」を使うスピーカー型音声コントロール端末
「Amazon Echo」は、音楽をかけたり、ピザを注文したり、タクシーを呼んだり、
Amazonで商品をポチったりと、日常生活のありとあらゆることに対応し始めています。
実際にEchoを使ってみたユーザーはEchoの利便性を理解すると同時に、
Echoが聞いた音声データがどうなっているのかについて、
そこはかとない疑問を感じているようです。
The Guardianのジョン・ノートン氏は、便利だと噂に聞いていたEchoをゲットして使ってみました。
ノートン氏は自分が必要と感じ、自分のお金で購入した商品以外はレビューしないと
いうポリシーを持っており、Echoも自分にとって重要な製品だと感じたことから購入したとのこと。
なお、Echoシリーズにはスタンダードモデルの「Amazon Echo」、
Blutooth対応で小型化した「Amazon Tap」、モバイルサイズの「Echo Dot」
の3種類がありますが、価格が最も安いEcho Dotを購入したそうです。
Echoでは「Alexa(アレクサ)」というフレーズがコマンドとなって、
認識した音声はAmazonのクラウドに送信されて、
回答がフィードバックされるという仕組みです。
そのため、Echoを使うために、ことあるごとに「Alexa」と呼びかけることになるのですが、
ノートン氏はEchoに話しかける行為は最初、不思議な感じがしたと述べています。
ノートン氏によると、Echoを初めて使うユーザーにとって最も感銘を受ける部分は応答速度の速さだとのこと。
なお、問いかけから回答までの1秒という極めて短い時間は、
Amazonのジェフ・ベゾスCEOがEchoの開発チームに課した過酷な命題だったことは、
以下の記事で確認できます。
Amazonのハードウェア史上最大のヒット商品になったスピーカー型音声アシスタント「Amazon Echo」誕生秘話
もちろん、質問したことにAlexaがうまく答えられない場面もよくあるそうですが、
Amazonは機械学習を取り入れているため、Echoのユーザーが増えて入力が増えれば増えるほど、
Alexaの回答の精度は高まることが期待できます。
ノートン氏がEchoが重要な製品だと感じる点は2つ。
1つは、Echoは「家庭」をターゲットに見定めて、
タッチ操作よりも使い勝手のよい「音声コントロール」に取り組んでいること。
2つめは、EchoがIoT製品と極めて高い親和性を持つことから、
急速に発展するIoTのエコシステムを取り込めるところ。
現時点では多くのIoT端末がスマートフォンとの連携を余儀なくされていますが、
家庭内でのIoT端末の利用ではスマートフォンは使いづらく、
Echoのような製品の方がふさわしいとのこと。
なお、AmazonがAlexaを使って家庭内のあらゆる製品をコントロールする
ハブとしての”オペレーティングシステム”という地位を着々と構築している様子は、
以下の記事で解説されています。
Amazonの音声認識「Alexa」は世界のIoTを席巻し「スマートフォンの次」のプラットフォームの覇者となりつつある
Echoを使ってみて音声コントロールが快適でまったく不満のないことを確認し、
想像通り便利で素晴らしい製品だと感じたノートン氏でしたが、
それと同時に「Alexaが聞き取った内容は、一体どこにいっているのだろう?」
という疑問が思い浮かんだとのこと。
家庭内の中心にいて、あらゆることを聞いているEchoには、
ユーザーの「プライバシー問題」が潜んでいることは明らかです。
この点についてAmazonは「Echoはいつも聞いていますが録音はしていません。
『Alexa』というトリガーワードを確認したあとで初めて音声データをクラウドに送信します」
という回答に終始しておりプライバシー問題をうまくかわそうとしているとノートン氏は感じているそうです。
しかし、Amazonの言葉を疑っているアメリカのユーザーは確実におり、
アラスカで起こった殺人事件の公判では事件の真相究明のため
Echoが記録した音声データの提出が求められているそうです。
いずれにせよ、Echoを使うことでノートン氏は、
「Technology is neither good nor bad; nor is it neutral
(テクノロジーは善でなければ悪でもない。そして、中立でもない)」という
クランツバーグの第1法則を、改めてかみしめているそうです。
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