株式会社ドワンゴと公益財団法人日本棋院が9日、
日本発の囲碁AIを開発する「DeepZenGoプロジェクト」の
進捗状況および今後の展開について日本棋院市ヶ谷本院(東京都千代田区)で
記者発表会を行った。
あわせて「第2回囲碁電脳戦」を11月19・20・23日に開催すると発表した。
趙治勲名誉名人が囲碁AI「DeepZenGo」と互先で3局勝負を行う。
DeepZenGoプロジェクトは、今年3月、囲碁AI「Zen」開発者チームの
尾島陽児氏、加藤英樹氏を中心に、人工知能の研究者で東京大学准教授の松尾豊氏と
同研究室の研究員、将棋ソフト「PONANZA」開発者の山本一成氏、
ドワンゴのエンジニアらで発足したもの。
なお、山本氏は将棋プログラム制作との時間の折り合いがつかないため、
同プロジェクトから外れることが今回の発表会で説明された。
山本氏は「今後もいろいろな形で応援できれば」とコメントしている。
ドワンゴはハードウェアや開発スペースなどの開発環境の提供、
松尾研究室の研究員である関根正之氏は、
Googleの「AlphaGo」をはじめとした囲碁ソフトの論文から
有望な手法を検討し、モデルを作成。
日本棋院は棋譜などのデータ提供、対局に必要な棋士を集めた。
尾島氏は主にニューラルネットワークの学習、それに伴う
本体プログラムの修正・調整、加藤氏はニューラルネットワークの計算、
アルゴリズム、GPUで走らせるプログラムを担当した。
現在、打つ手を決める「ポリシーネットワーク」と盤面を評価する
「バリューネットワーク」の学習を進めており、実行速度を向上させているという。
「AlphaGoの真似ではなく、あくまでZenを強くする方針」で
取りかかっており、独自性を出しているようだ。
インターネット対局場「KGS Go Server」におけるZenのレーティングは、
9月時点で7dから10dに昇段。
Eloレーティングでは、プロジェクト開始時のバージョン11.4では
2400~2500だったのがバージョン12.4では3000に到達した。
昨年末、AlphaGoがプロ棋士であるファンフイ氏に
勝利した時点の能力に値するという。
関根氏によると、プロジェクト開始時から短期間で強くなったとみているが、
「まだまだやってみたい有望な手法がたくさん残っている」としている。
同プロジェクトでは、「プロ棋士と互先で対局できる資格は得た」と判断。
現時点のAlphaGoのレーティングは3600前後と言われているが、
川上氏は「近いうちにZenも李世ドル氏と対局した3月時点の
AlphaGoの強さに到達できるのではないか」とみている。
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