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書評

【書評】「ビッグデータと人工知能 可能性と罠を見極める」中公新書 西垣通著

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日経新聞夕刊の書評欄で新書版にもかかわらず五つ星なので早速読んでみました。

「可能性と罠を見極める」とは何か

人工知能(AI)は進歩を続け、人間を支配する「シンギュラリティ」に到達するのか。国の新型コンピューター開発計画に関わった経験や情報工学の専門知識をもとに、著者はこの考え方を明確に否定する。AIが人間の仕事を奪うと恐れる必要はなく、IA(知能増幅)の装置として活用し、協働する姿勢こそ大切と説く。

帯に「人工知能は人間を超えない」とシンギュラリティをいきなり否定している。

帯はさらに続く。

ビッグデータ時代の到来、第三次AI」(人工知能)ブームとディープラーニングの登場、さらに進化したAIが2045年に人間の知性を凌駕するというシンギュラリティ予測・・・。人間とAIはこれからどこへ向かっていくのか。
本書は基礎情報学に基づいて現在の動向と論点を明快に整理し分析。技術万能主義に警鐘を鳴らし、知識増幅と集合知を駆使することによって拓かれる未来の可能性を提示する。

「人口知能が人間の仕事を奪ってしまうのか?」にも明確に否定している。

新聞やメディアで目にしない日はないほどのブームのビッグデータと人工知能であるが、帯にある通り一歩離れてみることを教えてくれる。

ここまで、明快に否定できる著者の西垣通氏とはいかなる人物か?

あとがきから引用

昨年の夏、ひさしぶりに、米国シリコンバレーにあるスタンフォード大学を訪れた。私がこの美しい大学のコンピュータ・システム研究所に客員研究員として留学していたのは、一九八〇年代初頭、ちょうど第二次人工知能ブームの頃である。(中略)
つまり、コンピュータとは「人間のように思考する機械」として生まれたのだ。(中略)
そこには、長いユダヤ=キリスト教の伝統でつちかわれた普遍主義、ロジカルな真理を地上で実現しようとする強烈な理想主義がある。(中略)
だが若かった私は、すさまじいその知的スケールに圧倒され敬意を覚えつつも、どこか納得のいかない点を感じていた。(中略)
かくして私は理系のコンピュータ工学研究者から転身し、情報社会や情報文化を論じる文系の学者になった。

理系と文系の両方の目を持った著者だからこそブームに流されずに言い切れるのでしょう。

  【目次】
 まえがき
 第一章 ビッグデータとは何か
  1・1 データが主役の時代
  1・2 富とセキュリティ
  1・3 超えるべき壁
 第二章 機械学習のブレイクスルー
  2・1 人工知能ブームの再来
  2・2 深層学習の登場
 第三章 人工知能が人間を超える!?
  3・1 シンギュラリティ狂騒曲
  3・2 生物と機械の違い
  3・3 ロボットとのコミュニケーション
 第四章 自由/責任/プライバシーはどうなるか
  4・1 一神教の呪縛
  4・2 社会メガマシン
 第五章 集合知の新展開
  5・1 ビッグデータと集合知
  5・2 人間と機械の協働
 あとがき

著者 西垣通

1948年東京都生まれ。東京大学工学部計数工学科卒業。日立製作所に入社。コンピュータ・ソフトの研究開発に携わる。その間、スタンフォード大学で客員研究員。その後、東京大学大学院情報学環教授などを経て、東京経済大学コミュニケーション学部教授、東京大学名誉教授。工学博士。専攻は情報学・メディア論。『デジタル・ナルシス』(岩波書店、1991年/第13回サントリー学芸賞受賞)ほか多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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