【記事】ホワイトカラーでもロボットが同僚になる日 工場からオフィスへ!RPAとは何か

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ロボットが同僚という日がやってくるかもしれません(写真 : Zinkevych / PIXTA)

元記事はこちら。

あらゆるビジネスで活用が検討されているAIだが、ビジネスで効果を発揮するにはさまざまなコツが存在する。

産業別のAI事例やAI活用時の注意点をまとめた『決定版AI 人工知能』の著者であるNTTデータの樋口晋也氏・城塚音也氏は、「データを収集するIoT」や「実際に作業をこなすロボット」と連携することでAIは真価を発揮するという。今回は、オフィスに導入が進む新しいタイプのロボットについて、AIとの関係も交えて解説してもらう。

オフィスにロボットが導入される

繁忙期にもかかわらず忙しさを感じないオフィス。誰も座っていないデスクに置かれたパソコンの中では、データをシステムに投入する作業や、定型的な依頼書を作成する作業が「自動的」に実行されている。しかも、そのスピードは常人の10倍近いスピードで、人為的なミスはゼロである。

このような世界がRPAにより実現されようとしている。RPAとはRobotic Process Automationの略で、テクノロジーを活用してホワイトカラー業務を効率化することを意味する。RPAの注目度は昨年の5月あたりから急上昇しており、先進的な技術を積極的に採用する企業からは、少しずつRPA推進による成果が報告され始めている。

RPAは、「たくさんのロボットが工場で日夜働いている」という当たり前の光景を、オフィスにももたらそうとしている。工場では単純作業や精密作業をロボットが担当するのが一般的だが、今後はオフィスの単純業務をロボットが担当し、情報の提供や意思決定をAIが行うようになると筆者らは考えている。

ただし、オフィスに導入されるロボットは工場で働くような形のあるロボットではなく、ソフトウエアで作られたデジタルロボットだ。このロボットは人間と同じようにエクセルに文字を入力したり、ブラウザの画面を操作したりできる。ちなみに、デジタルロボットという言葉はあまり使わないのが普通で、一般的には単にRPAと呼んだり、RPAツールやRPAソリューションと呼んだりするのだが、ここではイメージがしやすい「デジタルロボット」という言葉を使うことにする。

超スピードで正確に動作するデジタルロボット

デジタルロボットの特長のひとつに「超スピード」がある。人間はマウスを動かしてからキーボードで入力をするまでの間に一定の待ち時間が発生してしまうが、デジタルロボットであれば一瞬で操作を切り替えることができる。文字を入力するスピードやマウスを動かすスピードも人間とは比較にならない。正確な比較はできていないが、体感的には人間よりも10倍程度、高速に動作するのではないだろうか。

また、デジタルロボットにはヒューマンエラーが存在しないため、正確な業務遂行が期待できる。日本語を扱う業務のオペレーションを海外に依頼すると、大きい「や」と小さい「ゃ」を間違えることも多いが、デジタルロボットであればそのような品質の心配はない。また、正確性を担保するために、二重三重のチェックを人間が行う必要もないのである。

デジタルロボットは人間と同じようにコンピュータ画面を操作することができる。そのため、現在使用中のシステムを大きく変更することなく効率化できる点もポイントが高い。細かい効率化はデジタルロボットで実現し、大きな効率化はシステム改修で対応するという切り分けも考えられる。

デジタルロボットは一般のユーザーが現場でカスタマイズして使うことを前提に作られている。カスタマイズはウィンドウズなどで動作する専用ツールを用いて行い、ある程度直感的に設定できるようになっている。

デジタルロボットを利用するには、作業用端末に専用ソフトウエアをインストールしたり、デジタルロボットをインストール済みのサーバー端末を購入、もしくはレンタルする必要がある。ロボットは24時間365日働き続けることが可能で、労働力が足りない場合はコピーすることもできる。中国などのオフショア(海外への業務アウトソーシング)でよくある「業務を覚えたところで辞めてしまう問題」や一般企業で問題となる「育てた派遣社員が労働者派遣法により3年でいなくなるリスク」もない。うまく季節業務にデジタルロボットを投入できれば、業務量を一定にコントロールすることもできる。

現在販売されているデジタルロボットの多くは「ルールベース」で動作している。ルールベースというのは、「人間が事前に決めたルールに従い動作する」ことを意味し、そのため、デジタルロボットで効率化できるのは定型業務が中心となる。筆者らはデジタルロボットの導入を検討されているお客様と話す機会も多いが、お客様からは「デジタルロボット単体では業務の効率化に限界がある」と指摘されることが増えている。

たとえば交際費の支出が妥当であるかを判断する業務を考えてみよう。システムから情報を取得する部分、もしくは情報を登録する部分はルールベースのロボットで簡単に自動化できる。このときにシステムが複数存在しても問題はない。交際費を請求するときに必要な書類がすべてそろっているかの確認も、ルールベースで実現できる。しかし、領収書に書かれた表を理解し支出の妥当性を判断する作業や、社員が記述した支出理由を参考に交際費の支出が妥当であるかを判断する作業はルールベースでの実現は難しく、デジタルロボットだけでは解決できない場合が多い。

AIを活用することで、デジタルロボットでは実現が難しい部分を解決できるのがベストであるが、実際はそれほど簡単ではない。AIは一定の割合で間違った判断をしてしまうため、正確性が重視される業務では利用が難しい。そこでAIを使い人間の業務をサポートするという発想が出てくる。今回の例では、支出の妥当性を判断するときに過去の判断例をAIが表示して事務員を支援するなどの使い方が考えられる。NTTデータでも、従来は人間が対応していた見積もりデータを集約して次年度の購買計画を立案する業務を、AIにより80%程度効率化している(誤解がないように正確にいうと、本取り組みではデジタルロボットは利用していない)。

AIは人の仕事を奪うのか

オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授は、論文「雇用の未来」の中で、20年後には米国雇用の47%がコンピュータに代替されると公表している。今後は技術革新により生産性は向上するが、雇用は伸びない「グレートデカップリング」の懸念もある。

AIやデジタルロボットによる業務効率化で失業リスクが高まることは否定できないだろう。しかし、現状の技術レベルでは、失業よりも、導入しないことによる国際競争力の低下を心配したほうがよいと考えられる。RPAを推進し、社員を付加価値の低い仕事から解放できれば、業務改善やイノベーションに従事する時間を増やすことも可能だ。

地方では人口減少で労働力不足が深刻化している。また、中小企業では、やはり人口減で派遣社員の採用が難しくなっていると聞く。海外へのオフショアでは今後も賃金上昇が続くため、定期的に発注先を見直す必要がある。また、海外の政情不安や情報流出リスクにも備える必要がある。このように考えると、過度に失業リスクを恐れずにしっかりと業務の自動化を推進したほうが、日本全体ではよい方向に進むともいえるのである。

デジタルロボットは現場主導で業務改善を推進できる貴重なツールである。現在はまだAIやデジタルロボットの導入が始まったばかりであるが、将来的にはより高度なテクノロジーの導入も検討されていくだろう。今後は、財務部や購買部などのバックオフィスであっても一定レベルの技術を理解し、自ら改善する努力が求められる。少しずつだが確実に業務のグローバル化が進むのと同じで、テクノロジーの活用も少しずつではあるが確実に進展していくと思われる。



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