【記事】ビル・ゲイツが賛同するロボット税とは何か 新しい税体系を今こそ真剣に考えるべき理由

Ai20170409 01

元記事はこちら。

2016年5月、欧州議会法務委員会のマディ・デルボー議員が、議会に提出した報告書でロボットに課税すべきとの考えを示した。同議員は報告書でロボット普及によって不平等が拡大する懸念を強調し、「企業にはロボット工学とAI(人工知能)が業績にどの程度貢献しているかを報告させ、課税につなげる必要がある」と提案した。

この提案への反応は、ビル・ゲイツ氏が支持したことを除けば、ほとんどの人が否定的だった。だがデルボー議員の主張を無視することはできない。実際にロボットが社会のさまざまな場面で普及し始めているからである。

ロボットによって失職する人も出てくる

この1年間にも、部屋のどこでも声でAIの補助を受けられるアプリ「グーグルホーム」や、同じく音声アシスタントを使えるマイク・スピーカー・デバイス「アマゾン・エコー・ドット」など、家事をサポートしてくれる機器が誕生している。

シンガポールではデルファイとヌートノミーの2社が、ドライバー不要の自動運転車を使ったタクシーの実験を開始。スカイプの共同創業者が設立したスターシップ・テクノロジーズの自動宅配車を運用するドアダッシュ社は、実際に宅配ドライバーの仕事を奪いつつある。

こうした技術革新が加速すれば、ロボットへの課税構想にも現実味が出てくる。ロボットの普及に伴って失職し、簡単に職に就けそうにはない人々の職業訓練の資金にロボット税を充てれば、労働形態の移行による痛みを緩和できるからだ。

ノーベル経済学賞を受賞したエドムンド・フェルプス氏は自著で、「失業者が増えれば共同体全体の機能が損なわれるおそれがあり、ロボット普及に対して政府がある程度介入する余地が生じる」と指摘した。職業訓練プログラムは、人々の健全な人生には不可欠だろう。

ロボット課税を批判する人は、「ロボット」という用語があいまいで課税の定義が困難と主張している。だが労働の世界が様変わりする中、ロボット課税の可能性を頭ごなしに除外すべきではない。

英国の数学者フランク・ラムゼイ氏は1927年、税金によって経済への歪みを最小限に抑えるには、すべての活動に同率の課税を行うべきとの論文を発表した。しかし実際には、人々の経済状況にかかわらず、誰に対しても同額の税金を課すことは難しい。貧困層には「一括税」を払う余裕がないからだ。だからこそ税金は、それを払う能力を示す何らかの根拠に基づいて課す必要がある。

失業者のキャリア支援に充当せよ

他者の意思決定に影響するような課税は、より高い税率にすべきとの考え方もある。その一例が酒税だ。アルコール依存症は社会問題であり、結婚や家族、そして人生を破壊する。そのため米国は1920年から33年にかけて禁酒法施行で市場介入を試みたが、酒の消費を根絶させることはできず、落胆を招いただけだった。このように、税体系をどう構築するかはいつの時代も難題であることに変わりはない。

ロボット課税にまつわる議論では、不平等拡大への対策も不可欠だ。進歩的な所得税や「ベーシックインカム(最低限所得保障)」はいまだに普及していない。ロボット税導入の際には、こうした支援措置も検討されるべきだろう。

ロボット普及で生じる所得の不平等を是正するには、税制を政治的に受容でき、かつ長続きするものへと調整する必要がある。個人の所得税のように各人の成功に対して課税するのではなく、人間をロボットに置き換えることで売り上げが増えた場合などに、高めの税金を課すような形が考えられる。

ロボット税が新技術によって失業した人々のキャリア支援に使われるのであれば、一般的な正義感から見ても妥当なはずだ。社会にも受け入れられるのではないだろうか。



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