人工知能(AI)を利用した外国為替証拠金(FX)の取引ソフトが出始めている。
相場の動きなどから、AIが最も利益が大きくなるタイミングを判断する。
人間と違って「もっと稼げるかもしれない」といった余計な心理に左右されない特徴がある。
IT(情報技術)ベンチャーの学びing(さいたま市)が開発した「巫(かんなぎ)」は、
模擬取引でAIがみつけた最適な戦略で、
利用者に代わって自動的に取引を実行する。
斉藤常治社長は巫の特徴を「小さな損失は多いが、勝つときに大きな利益を上げる」と指摘する。
同社によると、勝率は3割程度と低めだが、
4月から12月中旬までのドル・円取引の月間平均利益幅は
レバレッジ(てこ)をかけない状態で145pips
(取引の最小単位、この場合は1円45銭)と大きい。
6月の英国の欧州連合(EU)離脱決定時の経験から
「一定の損失が出た場合すぐに損失覚悟の売買をするよう設定を変えた」(斉藤氏)。
11月以降の「トランプ相場」では円下落の長期化をAIが予期できたこともあり利益を出した。
投資顧問業者を通じ月額2万9800円で利用できる。
米ITベンチャーのAlpaca(カリフォルニア州)の「アルパカアルゴ」は、
ユーザーが希望する取引戦略をAIが実現するFXソフト。
利用者が過去の相場から特徴的なパターンをいくつか選ぶとAIが認識し、
次に同じようなパターンが生じた時に通知する。
利益を確定する時もAIが最適なタイミングを教えてくれる。
現在は無料で利用できる。
米国では証券口座に直結した売買サービスを提供しており
「日本でも環境が整えば同様のサービスを提供したい」
(四元盛文・日本代表)という。
サイバーウィザード(東京・世田谷)の「FAIPS」はAIとビッグデータ解析を組み合わせたFXソフト。
確率的に将来の円相場の推移を予測。
取引の推奨タイミングで通知を出す。
将来的には証券口座に直結して売買できるようにするという。
相場の勢いや移動平均線などの指標をもとに、
AIが順張りや逆張り、利益確定や損失覚悟の売買などの最適な取引を知らせる。
現在は一部の人が試験的に使っており、
2017年1月にも製品販売する予定だ。
価格は現段階で決まっていない。
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