倉庫作業員やトラックドライバーの未来は安泰とは言えません。
一方で、ホワイトカラーの人たちは、まだそれほど心配していないでしょう。
ところが、実は心配したほうがいいかもしれないのです。
弁護士の皆さん、ごめんなさい。
あなたたちはすでに劣悪な労働市場から抜きんでていて、
ロースクールの借金も返済し終えていることでしょう。
でも、実は人工知能との競争に立ち向かわねばならない日が
近いようなのです。
DoNotPayというロボットを紹介します。
ロンドン生まれのスタンフォード大学生、ジョシュア・ブラウダー氏が
発明した人工知能搭載のチャットボットで、
すでに16万人の駐車違反に不服申し立てを行っているというから驚きです。
ルーチン化している法律問題にはチャットボットが適任
「Guardian」のSamuel Gibbs氏はこのように報告しています。
プログラムはまず、「明確に見えている駐車標識があるか」などの一連のシンプルな質問によって、不服申し立てが可能かどうかを判断します。可能な場合、ユーザーに不服申し立てのプロセスを教えます。
そうすることで、結果は上々なようです。
ブラウダー氏によると、ロンドンで無料サービスがローンチされて21カ月がたちますが、その後導入されたニューヨークも含めると、DoNotPayはすでに25万件の不服申し立てを行い、16万件で勝訴しているそうです。成功率は64%であり、400万ドルもの駐車違反に対する不服申し立てを成立させているのです。
DoNotPayは、もうすぐシアトルにも導入されます。
でも、ボットの生みの親であるブラウダー氏は、さらに大きな野望を抱いています。
ブラウダー氏は、AI弁護士を使った次なる課題として、飛行機の遅延に対する補償や、HIV陽性者が自らの権利を知ること、亡命者が外国の法体系を知るためのガイドなどを目指しています。
同氏はさらに、法律の知識だけあればコーディングのバックグラウンドがなくても使えるデベロッパー・プラットフォームの開発を検討しています。これにより、法外な料金を払わずともシンプルな法的アドバイスを行う、もっと便利なチャットボットが生まれる可能性があります。
勝者と敗者
困った法律問題を抱えている人や予算が限られている人にとって、
これは素晴らしいニュースです。
ロボットが優秀な法律家の雄弁な判断力や戦略的センスを
再現するのはまだまだずっと遠い未来の話ですが、
あまり評価の高くない法律家の食い扶持となっているような、
ルーチン化された法的タスクの一部は、すでにAIで完全に
解決することができるのです。
この事例は、人工知能の発達により、短期間のうちに
勝者と敗者が生まれるという真実を如実に表しています。
DoNotPayのようなサービスは消費者にとって素晴らしいものであり、
今ではベンチャーキャピタリストがこぞってチャットボットの可能性を
その一方で、一部の労働者には職を失うという問題が立ちはだかるのです。
それに地方自治体は、駐車違反で得ていた400万ドルほどの歳入を失うことになります。
これについては、同情する気にもなりませんが。
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