【書評】人工知能は人間を超えるか ー  ディープラーニングの先にあるもの

グーグルのAI「アルファ碁」が人間に勝った理由とその意味とは?
(NIKKEI TRENDY NET 記事より)

グーグルのAI「アルファ碁」が韓国のプロ棊士イ・セドルに勝ったと言うニュースは、世界中を駆け巡った。2016年3月9〜15日、5局中4局をアルファ碁が勝利。これで、チェス・将棋についでコンピュータがプロを下した。これまで囲碁の勝利は10年先と言われてきていた。

本書を読めば、アルファ碁がどんな学習をして強くなったかが理解できます。

本書の序章のこの本の読み方で紹介されるポイントを押さえると昨今のAIをめぐるニュースや混乱や誤解が正しく理解できます。

本書は2015年発刊ですが、状況は2016年も変わっていません。

人工知能について報道されているニュースや出来事の中には「本当にすごいこと」と「実はそんなにすごくないこと」が混ざっている。「すでに実現したこと」と「もうすぐ実現しそうなこと」と「実現しそうもないこと(夢物語)」もごっちゃになっている。それが混乱のもとなのだ。
人工知能の研究には長い歴史がある。その時々で、最新の技術は違ってくる。画期的な新製品だと思ったら、中身は「とっくの昔に実現した技術の焼き直し」かもしれない。どれが最先端の技術で、どれが昔からある技術なのか。本書を読めば、それを見極める「勘どころ」をつかむことができるはずだ。

第1章では、専門家の考えと世間の見方のズレが理解出来る。衝撃の事実として人工知能はまだできていないという事実から入ります。

第2章から第4章では人工知能の歴史が説明される。それぞれの時代で、何ができて何ができなかったかが説明されます。

3回のブームと冬の時代があり、コンピュータができた当初から、人工知能の実現に取り組んでいたいたことがわかります。

第4章の後半から第5章では、今現在、人工知能研究で起きていることを、詳細な例示で紹介している。著者は、第5章の内容をブレイクスルーと言っています。

第6章では近未来に起こるであろう問題について著者の考えを述べています。

終章では、読者がこれから何をすべきかについて描かれている。特に職業や産業に関する人工知能の影響は、インパクトが大きいです。

目次情報

はじめに - 人工知能の春

序章 広がる人工知能 ー 人工知能は人類を滅ぼすか

 人間を超え始めた人工知能

 自動車も変わる、ロボットも変わる

 超高速処理の破壊力

 人工知能はSF作家になれるか

 人工知能への研究投資も世界中で加速

 職を失う人間

 人類にとっての危機が到来する

 この本の読み方

第1章 人工知能とは何か ー 専門家と世間の認識のズレ

 まだできていない人工知能

 基本テーゼ:人工知能は「できないわけがない」

 人工知能とは何か - 専門家の整理

 人工知能とロボットの違い

 人工知能とは何か - 世間の見方

 アルバイト・一般社員・課長・マネジャー

 強いAIと弱いAI

第2章 「推論」と「探索」の時代 ー 第1次AIブーム

 ブームと冬の時代

 「人工知能」という言葉が誕生

 探索木で迷路を解く

 ハノイの塔

 相手がいることで組み合わせが膨大に

 チェスや将棋で人間に勝利を飾る

 [秘訣1]よりよい特徴量が発見された

 [秘訣2]モンテカルロ法で評価の仕組みを変える

 現実の問題を解けないジレンマ

第3章 「知識」を入れると賢くなる ー 第2次AIブーム

 コンピュータと対話する

 専門家の代わりになるエキスパートシステム

 エキスパートシステムの課題

 知識を表現するとは

 知識を正しく記述するために:オントロジー研究

 ヘビーウェイト・オントロジーとライトウェイト・オントロジー

 ワトソン

 機械翻訳の難しさ

 フレーム問題

 シンブルグラウンディング問題

 時代を先取りしすぎた「第五世代コンピュータ」

 そして第2次AIブームが終わった

第4章 「機械学習」の静かな広がり ー 第3次AIブーム①

 データの増加と機械学習

 「学習する」とは「分ける」こと

 教師あり学習、教師なし学習

 「分け方」にもいろいろある

 ニューラルネットワークで手書き文字を認識する

 「学習」には時間がかかるが「予測」は一瞬

 機械学習における難問

 なぜいままで人工知能が実現しなかったのか

第5章 静寂を破る「ディープラーニング」 ー 第3次AIブーム②

 ディープラーニングが新時代を切り開く

 自己符号化器で入力と出力を同じにする

 日本全国の天気から地域をあぶりだす

 何段もディープに掘り下げる

 グーグルのネコ認識

 飛躍のカギは「頑健性」

 頑健性の高め方

 基本テーゼへの回帰

第6章 人工知能は人間を超えるか ー ディープラーニングの先にあるもの

 ディープラーニングからの技術進展

 人工知能は本能を持たない

 コンピュータは創造性を持てるか

 知能の社会的意義

 シンギュラリティは本当に起きるのか

 人工知能が人間を征服するとしたら

 万人のための人工知能

終章 変わりゆく世界 ー 産業・社会への影響と戦略

 変わりゆくもの

 産業への波及効果

 じわじわ広がる人工知能の影響

 近い将来なくなる職業と残る職業

 人工知能が生み出す新規事業

 人工知能と軍事

 「知識の転移」が産業構造を変える

 人工知能技術を独占される怖さ

 日本における人工知能発展の課題

 人材の厚みこそ逆転の切り札

 偉大な先人に感謝を込めて

おわりに まだ見ぬ人工知能に思いを馳せて

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コメント

  1. sana より:

    19世紀末のパンチカードシステムから最新のAIまでの、断片的な知識はありました。ですが、ここまで様々な歴史や事例を詳しく知ったのは初めてで、大変興味深いです。
    「2001年宇宙の旅」や、「鉄腕アトム」の世界が実現してしまうかもしれないと思うと、楽しいような、恐ろしいような…
    アイザック・アシモフの「ロボット3原則」だけは超えないように、慎重に技術開発を進めていく必要があると思います。素晴らしい本と講義の紹介、ありがとうございます。

  2. KawanoTakashi より:

    早速のコメントをありがとうございます。私も、松尾氏のますますの活躍を期待しています。

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